本館竣工100周年記念
綱町三井倶楽部物語
綱町三井倶楽部物語7

大正時代作の庭園を代表する名園

 綱町三井倶楽部を訪れた時、その庭園の大きさと美しさに目を奪われる人は多い。庭園が完成したのは綱町本館の竣工から9年後の大正11年(1922)。大正時代に造られた和洋併立のものとしては代表的な名園で、都会のまん中とは思えない四季折々の自然美を見せてくれる。

 ベランダに面している西洋庭園は、建物同様コンドルの設計によるもの。大盃型噴水を中心に配した純英国風のルネサンス風幾何学式庭園で、建物に対して左右対称に設計されている。花弁型をした池と整然と区画された園路と芝生の対比が美しい。

 西洋庭園の南側の階段を下った先に広がる19,800㎡(約6、000坪)の日本庭園は、江戸時代から著名だった名園をベースに三井南家・三井高弘の発意指示により、茶人・藪内節庵氏が設計、名庭師と謳われた柴田徳次郎氏が施工を担当した。

 日本庭園は池を中心とした築山林泉回遊式庭園で、全国から取り寄せた多数の自然石が使われ、それらを適所に配置することで、随所に景観を異にする趣向を凝らし、見事な絶景を造り出している。

 数ある石燈篭は、著名な京都・奈良の神社仏閣にある逸品を模写したものがほとんどだが、本物が破損の憂き目にあっているのに対し、倶楽部のものは保存管理がよく、本物より優れているといわれる。

 樹木は300種、1万数千本、目通し樹幹20cm以上のものが50本近くあり、一部は港区の指定する保護樹になっている。中でも一際目を引くのが、惹かれ合うように根本から枝まで絡み合っているケヤキとタブノキ。推定樹齢500年を超える2本は長年「縁結びの木」として親しまれており、綱町三井倶楽部では、本館竣工100年を機に「相愛樹」と命名。新たな人気スポットとなっている。

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