本館竣工100周年記念
綱町三井倶楽部物語
綱町三井倶楽部物語4

迎賓館にふさわしい美術・調度品を

 綱町三井倶楽部には、建物ばかりでなく、和洋の絵画、彫刻、置物の逸品が何気なくそこここに置かれている。本館が完成して以来、迎賓館としての名を損なわない名品を順次に揃えて行ったものだ。とりわけロダンの彫塑、ターナー、サー・トーマス・ローレンス、ドビニー、ニコラス・マースの油絵等の作品は美術史的にも価値が高い逸品である。

 日本の美術工芸品の名品も多く、そのひとつ「銀製 五重の塔」(作者不詳)には残念なエピソードがある。この作品は三井家当主が気に入って、根岸にいる製作者の家に通い詰めて入手した、という話もあるいわくつきの作品である、しかし、いま目にできるのは、なんと四重の塔。これは、戦後の米軍接収時になぜか二段目が紛失して、五重の塔が四重の塔になって帰ってきたのだという。本来もっていたであろう優美な姿が二度とみられなくなったことは、非常に残念でならない。美術品ばかりでなく、綱町三井倶楽部では各室に配備されている家具、什器、その他の調度品等も他に類を見ない豪華なものを取り揃えており、迎賓館として品と風格を醸し出している。

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